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2006.06.23

先行奉仕

先行投資という言葉があります。
後になっての儲けを期待して、前もって資金を投入しておく……。
この言葉を都合よく引用して、私はよく先行奉仕という造語を福祉に関わりはじめた当初から使っていました。
「私があれこれ頑張っているのは、先行投資ならぬ先行奉仕。“福祉の向上”とかそんな聖人君子的な気持ちからでは全然なく、後になってから何倍にもしてヒロキに返して欲しいから…」
臆面もなく、そう言うようにしてきました。
ある意味、他人にエゴと言われないための防御策でもありました。

でも実際、それが本音でした。
そして、先行奉仕は間違っている行為ではありませんでした。

自分の子のためにしか動かない障害児の親が多いなか、私は直接的にヒロキのためには何もしませんでした。他の障害者や障害児のためにばかり動いていました。
嫁サンには「自分の子を見ないで主客転倒してる」とよく怒られたもんです。
だけど、快感でした。私が動けば動くほど、環境がいい方向に向かってくれて、結果的にヒロキの暮らしやすい環境が自然と向こう側からやってきてくれたのです。
幼稚園も小学校も中学校も、そしてつくしんぼも……。
重度だったけど、ヒロキほど快適な環境のなかで成長できた自閉症児って、そんなにいなんじゃないかな、って思うほどに恵まれてました。
だからこれからも、体力落ちてはきてるけど、私は私なりにまだまだ頑張るつもりでいました。
それが間違いなく、ヒロキに還元されるという確信を持てていたからです。

でも、ヒロキがいなくなった今、どうにも頑張れない自分がここにいます。
先行奉仕しても、還元して貰う存在がいないから……。

それでも、私はつくしんぼを続けています。
なんで生きてるんだろう。> じぶん
そう思いながら、やめるわけにもいかず、続けています。

映画も、ヒロキのためにつくる気でいました。
ぼくうみの映画化が絶対にヒロキになにかのかたちで還元されると思ったから……。

でも、ヒロキはもういません。
だとしたら、私はなんで映画をつくるんだろう。
私は、自分のためになにかをする奴じゃないです。たぶん。
だとしたら、なんで???

自問自答を続けながら、それでも少しずつ脚本を書き進めている今日この頃です。

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コメント

先行奉仕、私にぴったりの言葉でした。

私には健常の娘しかいません。
でも、障がいを持っていらっしゃる方のことが、とても気にかかるのです。

それは、障がい児・者にとって便利な社会は健常者にとっても便利だということと、なにより私たちも、事故や病気でいつ障がいを持つか解らないからです。

私は、そのための先行奉仕をしているんだと思います。
『先行奉仕』と書かれているのを読んで、私の気持ちにぴったりだと思いました。

投稿: SUZU | 2006.06.23 11:01

親が我が子のためにあれこれ頑張るのは、当然のことです。ただ、自分の子に障害がある場合、特に理解も支援体制も整っていない自閉症児を育てるには、時として親は親であるだけではいられなくないのが現実で、社会に働きかけないと、思うような支援が得られないのですよね。
そのために、主客転倒といわれるほど、人の何倍も頑張っていらしたのだと思います。

私も、なんで「ぼくうみ」を映画化してほしいと願っているかというと、広く自閉症を知って欲しいのはもちろんですが、根本的には自分の子どもに還元してもらえるのではないかと思っているからかもしれません。

レインボーおやじさんは、どこかに頑張れなくなった今のご自分を責めるようなお気持があるのではないでしょうか?

以前のペースでなくても、いいんじゃないでしょうか? ぼちぼち、ゆったりと。

作品は作品として、一人歩きし始めているような気もしますし。

投稿: ぴろっぴー | 2006.06.23 17:21

ヒロキさんは生きておられます。
ヒロキさんは神様になるんです。
ヒロキさんの仕事のような気がします。

レインボーおやじさんがやめられても
誰も文句は言えません。

ごめんなさい、今、飲んだあとにメールしました。

投稿: あらたけしょうじ | 2006.06.23 20:51

私も、自閉症のことであれこれ走り回っていても、それがうちの子に即、還元されるとは考えてません。
うちの子には間に合わないだろう…と思ってます。そんなに福祉が急速にすすむ国じゃないから(^^;)

ただ、うちの子は高機能タイプ。親より頭がいいもので、将来彼自身が、自閉症の後輩達をたすける立場になってくれればいいな、と、いうのが「夢」です。

ただ、それは「綺麗事」なのかもしれません。

もうひとつ、「綺麗事」を言わせていただければ、人は亡くなったからといって「無」になるものではないと思います。
「足跡」は、確実に残る。それが「生きていた意味」だと思うのです。

何度も言いますが、私たちはこの映画づくりに「喜んでまきこまれている」んです。
少なくとも私自身は、自閉症を理解してもらうための映画をつくってもらいたくて、応援しようとしているのではない。
おやじ様がひろき君と歩いていく足跡を見ていたいから。
今、映画づくりも、つくしんぼうの活動も、ひろきくんとのとてつもなく長い長いおさんぽ。その足跡を見ていたいから応援します。

投稿: 三月うさぎ | 2006.06.24 07:09

儲かりますか

投稿: 映画作ったら | 2006.06.24 14:42

映画製作で儲かるわけないだろ。
自主製作であれば、製作費の回収もほぼ不可能というのが常識。
レインボーおやじはそれを覚悟で映画を作ろうとしてる。
予算の不足分は、奴のことだし、自腹切るつもりでいると思うな。そういう奴だから。

投稿: SSS(脚本家時代の友人) | 2006.06.24 16:36

こんにちは。お久しぶりです。

私の場合、生まれたときに寝たきりの祖父がいたことからはじまって福祉に漬かって生きてきたので、卵が先か鶏が先か分からない状態です。
現在も、高齢者も障害児のケアも私は家族であり、仕事でもあります。

でも、やっぱり、「先行奉仕」なのかな?
誰だって、いつかは高齢者や障害者になるんでしょうから。
後天的に自閉症にはなりませんが、認知症や身体障害の可能性はありますから。
出来れば、生涯現役で、先行奉仕し続けたいですけど。(^o^)

投稿: 桜祭り | 2006.06.24 21:28

親指シフターのヒデボーです。
ひと月ほど前に,こちらのサイトにしばらく
ぶりにお訪ねして・・・ショックでした。
あんなに精力的に活動されていた虹父さん
(当時のHN)なのに・・・
まだ,どうコメントしていいか分かりません
が,私も一緒にできることをと考えています。
勝手ながら,自分のブログに引用させて
いただきました。事後承諾ですみません。

http://oyayubishift.cocolog-nifty.com/oyayubishiftnoheya/2006/05/__1322.html

投稿: ヒデボー | 2006.06.24 23:36

先行奉仕・・いい言葉です。いかにもレインボーおやじさんらしい造語ですね。

私も、「なんで自分の子と関係ない子どもたちのために、ここまでしてるんだろう?」と自問自答しながら、普通学級の子対象の学童保育に、障害児を入所推進する活動をしていたことがあります。

でも、もしかしたら、

>だけど、快感でした。私が動けば動くほど、環境がいい方向に向かってくれて、結果的にヒロキの暮らしやすい環境が自然と向こう側からやってきてくれたのです。

と同じ気持ちだったのかもしれません。


今は「生かされている」と思うことがいい時期なのかもしれません。
とはいえ、あまり御自分を追い込まないようにして下さいね・・m(__)m

投稿: JAM | 2006.06.25 04:16

コメントありがとうです。>みなさん

先行奉仕って言葉、実は映画のなかでも使おうかなと思ってるので、あんまり先に広めないでください。(^^;

しかし、フォローしてくれたSSSさんが私には誰だかわからず……。(^^;

投稿: レインボーおやじ | 2006.06.25 15:02

以前、ときどき読ませていただいていました。
久しぶりに訪れたら・・・
映画のアドレス、ブログにリンクさせます。
くだらないブログで申し訳ないですけども。

投稿: ユミ | 2006.06.27 20:58

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