2009.03.07

いま、発達障害が増えているのか

「いま、発達障害が増えているのか …その実態と理由、新たなニーズを探る」という報告会に行ってきました。場所は早稲田の国際会議場。。。
医療面からの報告、教育面からの報告、ニーズ面からの報告と、三方面からの報告はとても興味深いものでした。

とくに、、、
医療面からは→まだまだデータ不足で、必ずしも増えているとは言い切れない。
教育面からは→特別支援学校&教室ではとにかく増えていて、教室がまったく足りない状況に陥っている。
……という両方面からのギャップが、予想は出来たものの、やはり現状の特別支援教育における課題を表していること、痛感しました。

個人的には、ヒロキの生まれた頃は“古き良き時代”って感じで、既に最近の統計のデータからも外れている点が、なんとも淋しい感じがして。。。
まあ、自閉業界の激変はここ10年のことだし。カナーよりアスペルガーの方がメジャーになり、自閉症より発達障害の方がメジャーになってきている今日この頃だしなあ。
自閉症と格闘してきた私らの世代は、正直なとこ、広汎性発達障害って言われるとどうにもピンとこなかったりもして。。。

つくしんぼをやめるわけにもいかんので、それなりにお勉強はしたりしているのです。(^^;


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2008.09.27

福祉って?

昨晩は、市内にある某社会福祉法人の理事会でした。
通所者+職員で200人を超えているような。市内でも有数の大所帯です。
私は、そんな施設の理事をやるようなウツワでは到底ないのですけど。。。
理事長は同じ歳、施設長や職員の面々には青年学級の元スタッフや中学の後輩なんかもいて……なぜか引き受けてしまっています。
通所生の親、教育関係者、銀行OB等々のなか、中学で障害児を失った父親は、なんていうか、居づらかったもしています。(^^;
予算規模はつくしんぼの10倍以上。補正予算の話なんか聞いてても、額がデカ過ぎて私にはどうにもピンときません。

で、思うのです。
福祉って何なんだろう? って。
彼らは、何であんなに一生懸命に福祉やってるんだろう? って。

私には……他人事でした。
私は、ヒロキが自閉症だったから、福祉に首突っ込んだだけの奴です。
ヒロキがいなくなってまで、福祉にいる自分に疑問を感じてる奴です。

福祉だけだと、私は息が詰まってしまいます。
物書きやってる頃は胃に穴があくことはあっても、息が詰まることはなかったっけ。

来週は、今度はつくしんぼの理事会です。
うっかりNPOにしてしまったので、理事会と呼ばにゃなりません。

つくしんぼの活動も、福祉なのかなあ?
たしかに、福祉から補助金は貰ってるけど。。。
私にとっては……今でも単なるヒロキの遊び場だから。。。

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2007.06.23

まちされん総会

本日、まちされん(NPO町田作業所連絡会)の総会がありました。
ウチ(つくしんぼ)が仲間に入れて貰ってから、早いもので11年が経ちます。

入会当時は、補助金もまだ貰ってない頃。
ちょうど「どんぐりの家」の自主上映会があって、製作が遅れて、結果的に全国でトップの上映会ってことになって、客がいっぱい入って、その儲け分を超貧乏なつくしんぼに寄付してくれるって言われて、買収されるように入会したのがまちされんでした。(^^;

まちされんでの会議は、好きです。
一生懸命やってる人が大勢いるし、施設運営の愚痴もたくさん聞けるし。(^o^)

不思議な感じがします。
まだ高校生の障害児の父親だった私が、作業所連絡会での10年選手なんだから……。
長男と同い年レベルの障害児の保護者には、まだまだ作業所の“さ”の字も知らない親が大勢いるっていうのに……。

2人して駆け抜けてきちゃったんだなあ、って思います。> ヒロキと自分
自分だけ生き残っていて、なんだかなあ……。

あ、後悔とかは全然してません。ずーっと楽しかったし……。
ふつうに真面目に仕事とかしてたりしたら、すっごく後悔してたと思うし……。


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2007.06.20

請願採択

「『心身障害者(児)通所訓練等事業』に関する意見書提出を求める請願」なるものを町田市議会に提出していたのですが……無事、採択されました。(^o^)v

請願の内容を一口でいうと、「ウチ(つくしんぼ)みたいな弱小の障害児の放課後施設等が東京都から受けている通所訓練等事業の補助金を継続して欲しい、という内容の意見書を町田市から東京都へ出して欲しい」というもので……って、ちっとも一口になっていない。(^^;

まちされん(町田作業所連絡会)としての提出だったのですが、児童の施設での課題でもあり、私が事務仕事を担当させて貰いました。
ただ、請願を出すのなんて初めての経験。タイムリミットまで5日もないタイミングからなんとか文章まとめて、市議さんの部屋を回って紹介議員になって頂き、市内の障害児施設あちこちに署名をお願いして……。

紹介議員は7会派すべてにお願いすることができ、署名総数も2049筆も集めることができ……。
ちなみに、つくしんぼとして集めた署名は全体1割程度……。(^^;

バタバタと走り回った2週間でしたが、結構面白かったです。
あ、まだ過去形じゃない。これから東京都へ提出用の意見書をつくらんと……。


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2006.06.21

民法より

第七百十二条
 未成年者か他人に損害を加へたる場合に於て其行為の責任を弁識するに足るへき知能を具へさりしときは其行為に付き賠償の責に任せす

第七百十三条
 精神上の障害に因り自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態に在る間に他人に損害を加へたる者は賠償の責に任せす但故意又は過失に因りて一時其状態を招きたるときは此限に在らす

第七百十四条
 前二条の規定に依り無能力者に責任なき場合に於て之を監督すへき法定の義務ある者は其無能力者か第三者に加へたる損害を賠償する責に任す但監督義務者か其義務を怠らさりしときは此限に在らす
 監督義務者に代はりて無能力者を監督する者も亦前項の責に任す

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2006.03.08

とび立つ会 「じみ変コンサートのご案内」

とびたとう大空へ じみ変コンサートのご案内

3月10日(金) 開場1830 開演1900
町田市民フォーラム3階ホール 入場~1000円

みなさんこんにちは、私たちはとびたつ会です。
私たちは町田市障害者青年学級に新しい友達が入れるようにつくった「卒業生」の会です。とびたつ会のメンバーは、青年学級に入っていた人たちでつくられています。なぜとび立つ会をつくったのか? ひとつは、青年学級は定員がいっぱいで何年か新しい仲間を入れることが出来ませんでした。私たちも青年学級の活動が楽しかったから、その楽しさを一人でも多くの仲間に味わってほしい。青年学級よりもさらに一歩進んだ会をつくろう!と2004年5月につくりました。
とびたつ階は町田で活動をしていて、仲間と一緒に自立支援法について話し合いをしたり、独り暮らしをしている人の家を見に行ったりしています。これまで、映画会を開催したり、ひなた村でバーベキューをしたり、ピープルファーストで徳島県や新潟県に行ったりしました。青年学級は、障害をもった人たちが一緒に社会の勉強をするために町田市公民館が運営しています。私が青年学級に入ったときは友達が大勢できました。皆と一緒にお茶を飲みに行ったり、ご飯を食べに行ったりできるところです。みなさんもこれから大勢の友達ができるといいですね。
今回のコンサートをとおして、大好きな“じみ変”のうたをみなさまに聞いていただきたいと思います。そして、私たちとびたつ階はみんなが生活しやすい社会ってなんだろうということを考え行動し、これからも活動を自分たちで進めていける力をつけることを目標に努力しつづけていきます。みなさんご支援をお願いします。

(コンサートのパンフレットより転載)

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2005.11.25

入学者・志願者07年度に同数

>07年度には計算上、大学・短大の入学者数が志願者数と同数になる「全入時代」を迎える。

……とのことである。(本日の朝日新聞夕刊表紙より)

一方、ウチの市では07年度あたりから計算上、養護高等部の卒業生の行き先がすべて満員となる「全浪時代」を迎える。

……という悲しい状況である。(町作連HP掲載の卒業生推移のデータより)

そんなに学生数が足りないのなら、ちゃんと学費は払うし、ついでに寄付金も払ってやるからウチの自閉の息子を預かってくれーっ!!

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2005.11.20

世界に一つだけの国

町田市内にある通所授産施設「赤い屋根」の施設長・小野浩さんが施設の会報に掲載した記事です。
掲載許可を頂き、転載させて頂きました。m(__)m


世界に一つだけの国

採決直前だというのに
 2005年10月28日、衆議院・厚生労働委員会は、障害者自立支援法案(自立支援法案)の採決を予定している最終の委員会だというのに、この日も、間違った「基礎データの誤り」を正す質疑で紛糾しました。
 紛糾の原因は、減免制度による負担軽減の見込み人数をめぐってでした。
 厚労省は、自立支援法案による定率(応益)負担の導入に伴って、さまざまな「負担軽減策」を提案しました。
 所得に応じた負担上限額や個別減免、そして社会福祉法人減免などです。つまり、低所得の人たちに対して、その所得の水準に応じて、「加重な負担」が課せられないようにする、というものです。
 厚労省はこれらの減免制度を「限りなく応能負担に近い定率負担」、「きめ細かな配慮」と、説明してきました。そして、これらの「軽減策」を厚労省は、自ら「安心装置」と呼んでいます。
 ではこの「安心装置」、どれほどの効果が期待できるのでしょうか。

負担は軽減されるのか?
 減免制度の対象は、生活保護以上で年収300万円以下の「低所得」世帯です。それ以上の収入の世帯は、月額上限40200円までの定率(応益)負担が課せられてしまいます。法案採決の前に、この減免制度でどれくらいの人の負担を軽減できるのかを明らかにすることは、立法府の当然の責務です。
 厚労省は、前夜11時に、所得階層別の人数と、減免制度による負担の影響額を示した資料を、質問予定の議員に提出したそうです。
 質問にたった議員は、こう尋ねました。
「年収300万円以上の世帯が5%ということはありえないでしょう。このデータは、本人所得の人数ですか?、それとも世帯所得の人数ですか?」と。
「障害者の属する世帯の所得である」と、中村社会援護局長は、答弁しました。
 誰もが耳を疑いました。「えっ?」という空気は、議員席にも流れました。
 家族収入を含めて年収300万円、つまり月額25万円を超える障害者世帯が「5%しかない」という説明は、誰もが疑問に思うはずです。
「他の議員のみなさんも、ホントにそう思われますか?」と呼びかける議員は、今度は尾辻厚労大臣に尋ねました。
「これはホントに世帯所得ですか?」
「事務方が算出したのだから、間違いない」と、尾辻厚労大臣は答えました。

翻った局長答弁
 いよいよ採決まで、残すところあと1時間となった審議の最終盤。最後の議員がもう一度尋ねました。「このデータは、本人所得ですか、世帯所得ですか?」
 ところが、中村局長は前言を翻しました。「本人の所得をもとに積算した」と。さらに「本人の所得を、そのまま世帯の所得として推計した」とも。
 この答弁で議場は騒然としました。
「そんな計算はおかしい。ただでさえ少ない本人の所得を、世帯の所得とするのはおかしい!」と迫る議員は、別の資料を提示しました。
「これは、10月4日に開かれた『とうきょうフォーラム』で、東京都が発表した公式の資料です。本人所得のみでは70%の人が『低所得』になるのに対して、家族の収入を含む世帯所得では、65%が『一般』になるのです。自治体はこうしたデータをもっています。厚労省が求めれば、こうした基礎資料は、すぐ手に入るはずです。なぜ根拠のあいまいな積算をするのですか」と、最後の議員は、誤りを問いただしました。
 厚労大臣や局長は「予算の見積もりのための積算」という答弁を繰り返すばかり・・・。

後味の悪い採決
 結局、「データの誤り」は正されず、減免制度でどれくらい負担が軽減されるのかも不明のまま、審議は集結しました。
 他にもあいまいなことは、たくさんあります。試行調査で多くの知的や精神障害の人が「サービス対象者」から除外されてしまった障害認定基準はどうなるのか。24時間ホームヘルプサービスを必要とする重度障害の人はどうなるのかなど、不透明・不十分さは、たくさん残されたままです。
 しかし、10月28日、午後4時35分、衆議院・厚労委員会で可決され、31日には本会議で可決されました。本会議の採決では、与党の何人かが賛成しなかったそうです。また通常は、採決後拍手がおこるのですが、今回は拍手もなく閉会したそうです。きっと、後味の悪い採決だったのでしょう。
 11月2日のニュースジャパンで、尾辻前厚労大臣は、定率負担の導入に「財務省の意向があった」と、はじめて認めました。可決後だから言えるコメントなのでしょう。

当面する3つの課題
 いずれにせよ、障害者自立支援法は成立しました。残された基本的な課題では、障害基礎年金制度の抜本的拡充や、障害の範囲の拡大、福祉と雇用の本格的な統合などですが、当面する課題は、以下の3つです。

●「政省令」づくりに対する運動
 自立支援法は、「1割の定率負担」以外に、具体的なことを盛り込んでいません。たとえば、施設運営の基本となる最低基準や職員配置基準、またホームヘルプサービスの利用基準や公費水準も、すべてこれから、通知や通達という「政省令」で決められます。減免制度も詳細は、未確定です。
 異例にも、衆議院・厚労委員会は、法律の制定の責任にもとづいて、この厚労省の「政省令」づくりを継続的にチェックする申し合わせを確認しました。こうしたチェックと連動しながら、障害者団体の要望を反映させることが重要です。

●担保となる「障害福祉計画」の策定
 今後は、ますます市町村の責任と役割が大きくなります。施策やサービスを地域で整備するうえで担保となるのが「障害福祉計画」です。これを当事者・関係者の参加でつくる必要があります。また自治体の「横だし・上乗せ」をどう実現するかです。

●自立支援法への「対応策」の確立
 最後に法人や事業所において、自立支援法への「対応策」を確立することです。具体的には、減免を含む定率(応益)負担への対応策、新事業体系を見据えた事業の見直しなどです。ただし、これらは「障害福祉計画」とリンクすることが重要になります。

 じつはこの原稿、印刷直前に後半部分を全面的に書き直しました。「元気のでる結末」を書けずに悩んでいたところ、ある利用者のお母さんが尋ねてきました。
 法案が可決成立したことを伝え、この原稿を見せると、「こんなことで弱気になったらダメよ。次はどうするかを示さなきゃ。それが小野さんの役割でしょ!」と、そのお母さんに、檄を飛ばされてしまいました。
 自立支援法案が可決されたときニッポンは、「世界に一つだけの国」になりました。なぜならば、障害のある人たちに応益負担を課す国は、世界のどこにもないからです。ニッポンを逆の意味での「世界に一つだけの国」にするためにも、挫けてなんていられません。そうですよね。お母さん!
(おの ひろし)

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2005.08.30

素朴な疑問

>今年6月に公表された学力テストの結果、5教科全てで都の平均を下回った
>東京・葛飾区では、区内の全ての公立中学校で夏休みを1週間削減し、
>25日から2学期をスタートさせました。
>葛飾区では、区内24全ての公立中学校で、今年から夏休みを1週間削りました。
>まだ8月ですが、25日から新学期のスタートです。

とのことですが……。
これって、特殊学級のある中学もあると思うのですが、特殊学級も1週間早く授業が始まっているということなのでしょうか?
だとしたら、妙に羨ましかったりして。。。(^^;

>異例の「夏休み削減」に踏み切ったのにはワケがあります。
>今年6月、都内の中学2年生を対象にした学力調査の結果が公表されましたが、
>葛飾区の総合順位は23区中20位で、危機感をつのらせた区は、
>「学力向上のためには授業時間数の確保が必要」として、夏休みを1週間削って、
>5日間=およそ30時間分の授業時間を増やすことを決めました。

学力がもっと低下したら、特殊学級にいらっしゃ~い。(^o^)/

養護学校は都立だから関係ないんだろうな、たぶん。。。

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2005.08.01

鼠のごとく、蟻のごとく

赤い屋根だより(社会福祉法人ウィズ町田 赤い屋根)より
赤い屋根施設長 小野浩氏 の記事を転載
(小野氏はきょうされん東京都支部の事務局長でもあります)

採決の瞬間
 7月13日の衆議院・厚生労働委員会、午後4時25分、賛成25、反対19で、障害者自立支援法案(以下、自立支援法案)が可決されました。
 騒然とした採決の瞬間、傍聴席の隣に座っていた重いマヒのある当事者は、議場に届かない小さな声で、しぼり出すように叫びました。「ヤメテクレ…」と。
 審議は、ギリギリまでもつれました。「自立支援医療」への統合にむけて、3つに分かれた現行公費負担制度のひとつ、精神障害者通院医療費公費負担制度の「課税世帯割合」の数字にまったく根拠がなく、法案の基礎となるデータではないことが明らかにされたからです。
 「来週の19日には、新しい調査結果が発表されるのだから、採決はそれを待とう」
 この野党議員の主張には、十分な説得力がありました。
 しかし厚労大臣は、同じ答弁を繰り返し、最終的には「委員会のすすめ方を決する権限は、私にはありません」という答弁。
 この大臣答弁で、もっとも困惑していたのは、厚労委員長(与党議員)でした。委員長は、精一杯、重要な質疑として野党議員の質問を尊重しようとしていましたが、大臣は、ただ事態収拾の責任を委員長に預けただけ。少なくない与党議員は、混迷や戸惑いをかくせない面持ちでした。
 そのためか、このとき議場は、休会して審議のすすめ方の調整をおこなうのではないか、そう思われる雰囲気が漂いました。
 しかし委員長は、時間切れを宣言し、採決へ。審議未了の採決は、事実上の「強行採決」といわざるを得ません。

戸惑い、ためらい
 じつは審議に入る前、与党は「強行採決はしない」という申し合わせをしていました。「強行採決」には馴染まない法案であるという配慮からです。
 そのために戸惑い、ためらったのでしょう。その日、賛成票を投じた与党の一人、菅原議員は自らのホームページにこう書き残しています。
「この問題だけは、議論していて本当に辛かった。はたして、この法で真の自立がはかられるのだろうか、正直疑問は残る」と。
 菅原議員は、事前に地元の家族会や当事者団体との懇談を重ね、委員会の質問に臨みました。明確な回答を得られない質疑に終始したことが、こうした思いの背景にあると思います。
 なぜ厚労省の答弁は、具体性に欠けていたのでしょうか。それもそのはず。自立支援法案は、その是非を問うために、もっとも重要な「福祉サービスの水準・内容・量」を提案していないからです。そしてただ、「負担」だけを定めた法案を採決しようとするからです。しかも、法案の根拠となる基礎データもミスだらけなのです。

29ヵ所もの「誤り」
 法案の基礎資料の「データの誤り」は、13日の委員会がはじめてではなく、8日の委員会で大問題になりました。具体的には、前述した医療費の実績数や今後の予測数の数値で、年間件数と月利用件数を取り違えて記載し、また受診者数と受診回数を取り違えていたのです。その誤差は、90万件もの違いがあるものもありました。
 8日の委員会では、厚労大臣も担当部長もまったく「答弁不能」となりました。
 「法案の根拠が崩れたのだから、もう一度、社会保障審議会で誤りの原因と正しいデータの資料を承認すべき」という指摘を受けて、厚労省は、急きょ12日に、社会保障審議会・障害者部会を開催しました。
 ところが、この社会保障審議会・障害者部会では、誤りの原因を正すどころか、誤ったデータは「法案の根拠を揺るがすものではない」「粛々と法案の審議はすすめるべき」などの発言が相次ぎました。しかも異例なことに、厚労大臣までが出席して、法案審議の続行の了承を懇願しました。
 社会保障審議会は、内閣総理大臣の諮問機関です。その権威とは裏腹に、誤ったデータにもとづいた法案を了承してしまった審議会の責任は、まったく不問のまま、12日の審議会は終了しました。

議論は十分尽くされたのか
 真摯に議論に臨んだ議員には申し訳ありませんが、正直に言って、十分かつ慎重な審議がされたとは思えません。
 自立支援法案は、5月11日から審議がはじまりました。衆議院・厚労委員会の定数は、与党26名、野党19名の45名です。
 しかし傍聴者の多くに尋ねると、いつも委員会は成立ギリギリ、つまり過半数スレスレの出席だったそうです。しかも、常に出たり入ったりと慌しく、7月1日の委員会は、とうとう不成立となり、4回も中断されました。その慌しさの原因は、まぎれもなく郵政民営化法案です。
 衆議院・厚労委員会の採決の13日、開会時の出席は定数45名中の29名。ようやく全員そろったのは、採決30分前の3時50分でした。

前例のない政府修正
 衆議院・厚労委員会では、政府の修正案と付帯決議が併せて採決されました。
 これらは、まぎれもなく5月12日や7月5日の緊急集会などで、がんばった当事者・家族の運動の成果です。提案の際には「これらを踏まえて」という前置きがありました。
 とくに、政府自らが法案審議中に修正案を提案するのは異例のこと。行政OBにいわせると「考えられない事態」だそうです。
 修正案・付帯決議の主な内容は、①障害の範囲の検討、②3年以内に所得保障のあり方を検討、③扶養義務の範囲規定についての若干の改善、などです。

納得できない応益負担
 期限付きで所得保障の検討が盛り込まれたからといって、了承できるものではありません。根本的な問題である定率(応益)負担の導入は、いまもなお法案の骨格です。
 障害のある人たちが生きるために必要な施策や支援は、権利であって利益ではありません。しかも生活保護よりも低い障害基礎年金の水準にありながら、障害が重く多くの支援を必要とする人ほど、負担が増えることも、まったく納得がいきません。
 去る22日に聞かれた都道府県障害保健福祉課長会議では、「利用者負担の見直し」が提案されました。そこでは、障害基礎年金2級の人がグループホームを利用する場合、利用者負担をゼロにすること、また通所施設を利用する場合の利用者負担を上限の半分とし、それを超える金額は、社会福祉法人減免とするなどです。

負担軽減は3年間のみ
 しかし、いずれも「施行後3年」の制限付きです。なぜ「3年」なのでしょうか。
 3年後とは、介護保険と障害者福祉との本格的な統合の時期なのです。つまり、それまでの「臨時的措置」に過ぎないのです。
 この点は疑問です。厚労省は「支援費は持続性に欠ける」「制度設計が問題」と自ら反省を表明し、「制度の持続可能性」を掲げて、自立支援法案を提案しました。
 ところが3年後の介護保険との本格統合のときには、また大幅な法改正があるのです。それでは支援費の「寿命3年」とまったく同じ。どこが「持続可能性」なのでしょうか。

長時間利用の抑制が目的
 であるならば、介護保険との本格統合を待って、定率負担導入の徹底討論をすればいいはずです。なぜ、定率負担の導入を急ぐのか。その理由は二つあります。
 一つは、介護保険との本格統合に確実なすじ道をつけること。もう一つは、居宅支援などの「長時間利用の抑制」のためです。
 これらは、いずれも厚労省が財務省から突きつけられている予算確保の「交換条件」なのです。そのため厚労省は、常に「法案が通らなければ、予算がふっとぶ」と、説明してきました。
 しかしこの「交換条件」が、予算積算の根拠となるわけではないはずです。必要な支援を確保するところから、予算は積み上げられるはずです。22日のフジテレビ・ニュースジャパンに登場した東洋大学の北野氏は、「補填できない額ではない。次国会まで審議を続けて、もう一度見直すべき」と述べていました。

2つの国会で審議を
 93年の障害者基本法の制定は、2つの国会をまたがって審議し、2度目の国会でより改善され施行されました。自立支援法案の重要性からいっても、そのくらい慎重な審議をしてもいいはずです。
 参議院では、最低でも25時間の審議時間を確保しなければなりません。しかし、郵政民営化法案が大詰めを迎えたいま、十分な時間を確保できるのでしょうか。
 だからといって、不十分で拙速な審議は絶対に避けるべきです。
 立ちはだかる壁は、ここにきてより高く険しくなってきたように感じています。しかし、「窮鼠猫を噛む」の思いで、最後まであきらめることは、決してしません。
 同時に、その壁の脆さも際立ってきました。「巨象を倒す蟻」のごとく、より広範な多くの人たちと固く手をたずさえれば、みんなの幸せと権利はきっと守れる、そう確信しています。

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