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2006.07.26

選ばれた理由

「次……」
「はい」
「ずいぶん待たせましたが、次はあなたの番です」
「はい」
「あなたは、男の子として誕生することに決定しました」
「ありがとうございます」
「ただ、とても言いにくいのですが……長い期間待たせてしまったにもかかわらず、あなたには試練を与えなければならないことになりました」
「試練……ですか?」
「そうです。あなたは今回、障害をもって誕生することになりました」
「どんな障害ですか?」
「重度の自閉症、という障害です」
「自閉症……」
「加えて、あなたに与えられた寿命も決まっています。たったの15年間です」
「15年……」
「今回あなたは、とても特別な子として生きなければなりません。親と意思疎通することもかないません。それでも生まれることを望みますか?」
「……望みます」
「わかりました。では、本来生まれゆく子に与えることのない権利を、あなたには特別に与えようと思います」
「どのような?」
「自閉症という障害、そして15年という寿命。特別の子として生まれなければならないあなたには……親を選ぶ権利を与えます」
「親を選ぶ権利……」
「まだ時間に余裕はあります。ゆっくり選んでください。あなたは、二人兄弟の長男として生まれることになるので、弟の選択権も与えます」
「ありがとうございます……でももう決めました」
「その判断でよろしいのですね?」
「はい。私の選んだ両親と弟ですから……」

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コメント

今日のブログ、なんだかフワッと優しい気分になりました。
選んで生まれて来てくれたんですね。
絶対そうです。

家族に愛されて、きっと大満足で帰って行ったんでしょうね。
すごいなあ、ヒロキ君は見る目がありますね!

号泣!!!
(TOT)/
良い文章だなぁ。。
「文豪レインボーおやじ」は天才だな。。

息子の状態が悪くて、気持が沈みがちなときに、この文章を読めてよかったです。
朝から涙がでてしまいました・・・。


はじめまして。ひげぞうと申します。
文章を読み 胸が詰まり、目が熱くなりました。
そう、こどもは自分たちを選んだんだ!
それだけで強くなれる気がします。
くじけそうな時もありますが がんばります
ありがとう。

母がよく話していたことと、同じでした。
「この人なら、という人のところに来てくれたんだよね。福子なんだよね。」

でも、きょうだいも選ばれていたなんて考えたことありませんでした。

親の老後、自分はどうするんだろう…そのとき考えようって思ってたけど…

お盆が終わった頃に、帰省します。私が行くとパニクッているけど(もう、お姉ちゃんの家じゃないって思うみたいです。)、私の娘たちには優しい弟です。大事にとっておいてある「たけのこの里」と「きのこの山」を2個セットで(必ず偶数)娘たちにくれるんですよ。。。

こうとでも思わんとやってられんのです。(^^;

始めまして。私には2歳4ヶ月になる息子がいます。
私は子どもが生まれる前に知人から、今よくテレビに出ている江原啓之さんの子育てスピリチュアルという本を頂きました。その中に子どもは親も障害も性別も選んで生まれてくるのだと書いてありました。
 別の本では何歳まで生きて死んでいくかも自分で決めて生まれてくるのだと言う事を書いてありました。そして、それを受け入れてくれる親を、この人達だったらきっと一緒に生きてくれる、きっと大丈夫!と思う親を選んでくるのだそうです。
 私の息子はまだお医者様には診てもらっていないのですが、自閉症だと思います。
以前医者の診断より親の診断と言うような事を書いていらっしゃいましたよね。本当にそう思います。私の息子は自閉症です。どの程度の自閉症かはお医者様の判断に委ねますけど、自閉症に間違いは無いと思います。
 けれど、この先どんな障害であろうと、どんなに短い人生であろうと、自分で選んだ試練と共にこの子が私と夫の所に人生を学びに選んできたのだと思うと頑張れるような気がします。
 そういう考え方を受け入れる事ができるか出来ないかで人生全然違ってくるのではないでしょうか…
 私はそれに気づかせてくれた事に感謝しています。
 

 
 椎の実も選んできてくれたのかな?
 
 そう思いたいけど、どうなのかな~

 方向オンチだから最初に行こうと

 思った方向とは違ったかもね(^^;

ううぅ…(T_T)
ありがとうございます

はからずも、自分のブログで、ある意見に対してのレスで、
「子は親を選べない・・・」と書くべきところを
「親は子を選べない・・・」と、たいへんな間違いを犯していることを発見しました。
フロイト流に言わせると、私の潜在意識からの言葉かと、ドキリとして、迷いながら修正せずに置いてあります。
そして、ここでこの文に触れて、涙ながらに読み終え、気持ちが落ち着いたら再びドキリ。
子が産まれ落ちた時には、心底「授かった」と思えて、選ぶの選べないのという思い上がりは絶対になかった筈なのに、密かにとはいえ、いつからこんな思いが自分の中に?と。
それよりも、私は子に選ばれただけの相応の親であったのか・・・
そう考えると冷や汗の出る思いです。


すごくいいお話ですね。
ヒロキくんが、みんなから愛されるために生まれてきたということがよくわかります。

私の子供が、私を選んだとは思えない。
私は、十分に私の子供に対して尽くしているとは思えない。
恥ずかしくて辛い、自分の脆弱さが。
こんなダメな親を、あいつは選んでくれたのでしょうか。

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