バトン
長年お世話になってきた主治医の先生が医院を閉じた。私より数歳年上の内科医の先生だ。
先代の先生が癌で亡くなり、甥っ子さんだった今の先生が引き継いだ医院だった。
今の先生も体調を崩し、医院の存続を諦めたと言う。癌かどうかまではわからない。最後の診察のときに聞こうとしたが、話したくなさそうなので結局聞かなかった。
引き継いでくれる子や親族もいないらしい。
先日、困った時の一番の相談相手だった建設会社の叔父も癌で亡くなってしまった。
ずっと世話になってきた水道工事屋さんも腰のヘルニアで仕事を辞めてしまった。
電気屋さんも腰の状態がひどく、いつまで続けられるかわからないと言う。
みんな年上なので、仕方ないと言えば仕方ないのだけれど。
バトンを渡す相手がいない。
私はというと、体調悪化を理由に立ち上げた福祉施設を次世代にバトンを渡した。
その施設で、いつしか次男が働くようになった。
長男のためにつくった施設が、今は次男のために役立っているからなんとも不思議だ。
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