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2021.10.17

大石さんのこと

生まれてきた長男が自閉症だった。
溺れる者は藁をも縋る、とばかりに飛び込んだのが、公民館主催の町田市障害者青年学級という場所だった。
そこには大勢の障害者が集まっていた。百人以上いた。
自分の息子以外に知的な障害をもつ人のことを知らなかった私は、彼らを目の前にして、壁に張りついて動けなくなってしまった。
そんな私に、彼らは優しかった。
彼らを見ていて、長男に障害があってもなんとかなるような気がした。
障害者青年学級を動かしていたのが、大石さんという女性だった。
青年学級は、大石さんを中心に動いていた。
先輩にあたるスタッフたちは、大石さんのことを恐い女性だと言っていた。
でも私には、優しい女性だった。
「障害児の父親が青年学級に参加してくれたことが嬉しい」
と言ってくれた。
青年学級に参加しなかったら、私は障害児の放課後活動の場所を立ち上げたりはしなかったと思う。
私にとっての障害児の放課後活動は、障害者青年学級の子ども版だった。
そんな大石さんが亡くなった。
私は25年程の付き合いだったが、先輩スタッフの中には50年近い付き合いの人もいた。
私たちにとって一番中心の、柱のような存在がいなくなってしまった。

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