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2023.03.12

春の香り

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「春の香り」
脳腫瘍と闘い、十八歳で逝ってしまった最愛の娘へ
坂野和歌子/坂野貴宏 著

11歳で発症した娘の脳腫瘍。手術後、寛解したものの6年後再発、そして再再発。右半身麻痺、失語症に加え、失われていく光、精神症状を伴う発作と怒濤の日々の中で、これから先何があっても娘と向き合い、寄り添い、支え、抱きしめていこうと決めた父と母。闘病しながらの学生生活、夢を諦めず絵を描く姿、発作時の言動やその対処の様子など。父と母、それぞれの視点からの娘の闘病と介護の記録。

縁あって読ませて頂きました。
ヒロキとは事故と病気の違いはあるものの、子どもを失くした親の本という点では、「おさんぽいってもいいよ~」の本と一緒です。

ヒロキは一瞬でいなくなってしまい、そのKOパンチの衝撃はハンパじゃなかったのですけど。
自らの病気を自覚する子との闘病生活は、また違ったボディブローのような辛さがあったこと、伝わってきました。
ましてや脳の病気です。
脳自体が自分の脳に直接伝える辛さ苦しさ、一体どのぐらいのものなのか、想像が出来ません。
私の鬱症状なんて比較ならないような気がします。

著者の坂野さんは、高校の先生とのこと。
ふと自分の高校時代の恩師・奥山善一先生を思い出しました。
クラス替えのなかった我がクラスは、3年間ずっと奥山先生が担任でした。
その奥山先生は、私達の担任をやっていた時期、15歳の息子さんを白血病で失っていました。
でも、家庭の事情を学校に持ち込まない先生でした。
息子さんの葬儀の時、はじめて知ったぐらいでした。
奥山先生は、私が15歳のヒロキを失くした時、一番私のことを心配してくれました。
自分と一緒だから、だったからだと思います。
そんな奥山先生は、先生の引退以降、大好きな山が近くに見える安曇野に移住。数年前に亡くなりました。90歳ぐらいだったはずです。

娘さんの名前は春香さん。
春は、やっぱり淋しい季節です。
もうすぐヒロキの命日。。。
ヒロキ桜の開花は今年も早く、3/28を待たずして六分咲きです。

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